あらすじ
舞台はイギリス・ロンドン。災害によって住処を失った「暗黒大陸・ペルー」の森で暮らしていたパディントンは新しい家を探しにイギリス・ロンドンへと降り立つ。
たまたま出会った親切なブラウン婦人に「パディントン」と名付けられた彼は、新しい家が見つかるまでの間、ブラウン家に居候することに。
クマと人間の違い?に起因して、いろいろ騒動を起こしてしまうが、やがてブラウン家とも仲良くなっていき、すっかり街の人気者になります。
「いつまでもブラウン一家にお世話になっていられない」と思った彼は、一大決心をして、一人で家を探しはじめることに。そんな中、彼を標本にしようと狙う美女・ミリセントに
誘拐されてしまい・・・。
パディントン駅
ロンドンにやってきた子グマ・パディントンが最初に訪れたのは「パディントン駅」。 ロンドン最大の空港・ヒースロー空港からの直通の特急列車も止まる、まさにロンドンの「玄関口」。
同駅には、パディントングッズを取り揃えたショップもありますし、彼の銅像も立っています。パディントンがイギリスでいかに愛されているかがわかります。
「どうそこのくまのめんどうをみてやってください。おたのみします。」
そんな札を付けて駅に佇むパディントンが駅に佇むシーンは、第2次世界大戦中にロンドンから疎開してきたこどもたちが名札に札を下げているのをモデルにしたそうです。
ロンドン自然史博物館
誘拐されたパディントンが連れ去られた場所は「ロンドン自然史博物館」。
いかにもヨーロッパ風の建築物である自然史博物館には、植物や動物といったレリーフも。もし訪れることがあれば、入館前に建物に注目したいと思います。
また、一歩自然史博物館に入ると、大広間で恐竜がお出迎え。自然史博物館で最も目立つ場所なのでしょう、映画でも使用されていました。
劇中歌の「カリプソ」
作中、時折登場するおじいさんたちのバンドが演奏する音楽は、カプリソと呼ばれる旧英国領だったトリニーダが発祥のカリブの音楽。
第2次世界大戦終了後、国外に職を求めたカリビアンたちと共に、この音楽もイギリスに伝わりました。
本作でも、当時流行した「London is the Place for Me」という歌が使用されています。
アメリカやフランスでも行くことができるけれど、ロンドンがやっぱり一番だ、イギリス人は社交的だから、といったような「ロンドン賛歌」ともいえる歌詞。
その内容から、第2次世界大戦後のイギリスに移民がいかに多かったかが伺えるでしょう。
感想
「移民」という社会の中で注目が集まるイシューを扱うことになる本作ですが、映画の内容自体はそこまで堅苦しいものでは、もちろんありません。
まず、赤い帽子と青いダッフルコートがトレードマークのパディントンがとってもキュート。紳士で純粋な彼の性格に癒されること間違いなし。
映画自体も、おしゃれな演出に満ちています。いわゆるピタゴラ装置(ルーブ・ゴールドバーク・マシン)が使用されていたり、模型の列車にいる人間が突然動き出すなどなど。
児童文学発祥のこども向けの作品ではありますが、大人が観ても十分に楽しめる作品でしょう。