あらすじ
ハリウッドの脚本家・ギルは、婚約者とその両親と憧れのパリへ。 本当は小説家を志望する夢見がちなギルは、現実主義的な婚約者と正直そりが合わない。そんな彼がある夜、一人でパリの街を散策していると、いつの間にか1920年代のパリに迷い込んでしまう。ヘミングウェイやパブロ・ピカソなど、同時代を生きた芸術家と会う中、美女・アドリアナと遭遇し・・・。
パリの黄金時代
主人公がタイムスリップするのは「狂乱の時代」と呼ばれる1920年代のパリ。
本作でも、この時代の芸術家がたくさん出演するのですが、彼らに対する知識を全く持たずに本作を鑑賞したら、正直意味がわからなかった。
著者と同じ失敗?をしないように、本作を見る前に最低限知ってほしい、芸術家をざっと紹介することとします。
・アーネスト・ヘミングウェイ・・・「老人の海」等を執筆したアメリカの小説家。ノーベル文学賞を受賞。
・ガートルード・スタイン・・・美術収集家で、画家や詩人が集まるサロンを開いたことで知られる。
・パブロ・ピカソ・・・スペイン出身で、制作活動をした画家。
・F・スコット・フィッツジェラルド・・・アメリカの小説家。グレート・ギャッツビーを執筆。
・ゼルダ・セイヤー・フィッツジェラルド・・・アメリカの小説家で、F・スコットの恋人。
ほかにもたくさん出てきますが、作中で複数回登場するのは彼らでしょうか。ところで、本作で登場する「ピカソ」や「ダリ」といった作品を観たい場合は、パリのどの美術館へ行けばよいでしょうか。パリの美術館で最も有名なのはルーブル美術館。ですが、ここに所蔵される作品は~19世紀までのものがメイン。20世紀初頭に活躍した芸術家たちの作品の多くは、ポンピドゥー・センターに収められていることが多いです。
ロケ地
パリを舞台にした映画の中でも、これほどふんだんにパリの観光名所を劇中に登場させた作品はないかもしれません。イントロでは凱旋門やエッフェル塔、セーヌ河などなどが登場。
他と比べて地味ながらも、本作で注目すべきロケ地は「シェイクスピア・アンド・カンパニー書店」でしょう。 1900年代初頭に開業された同書店では現在で「2代目」。初代シェイクスピア・アンドカンパニー書店では、パリにおけるアメリカ文学の中心地でありヘミングウェイやコット・フィッツジェラルドも同書店で過ごしたといわれています。
感想〈ややネタバレあり〉
映画のメッセージは極めて単純。「懐古主義はよくない」
主人公ギルは、1920年代のパリ~狂乱の時代のパリ~を黄金の時代と考えますが、「狂乱の時代」を生きるアドリアナは、ロートレックなどが生きた1900年前後の「ベル・エポック」の時代をパリの「黄金時代」と考えます。
それでも、この映画が魅力的なのは、どんな時代のパリでも人を惹きつける魅力があるからでしょう。この映画を観て、パリに行きたくならない人はいないでしょう。なお、「ベル・エポック」時代を舞台にした映画としてムーランルージュがあります。同じパリを舞台にしながらも、映画の演出はだいぶ異なりますが、ぜひぜひこちらも。