あらすじ
イスラエルでの事件を解決した名探偵・ポアロは、イギリスへの帰路へ向うため「オリエント急行」に乗車。
悪天候のため雪山の中、オリエント急行が立往生した翌日、乗客の一人が死体となって車内で発見される。
容疑者は、被害者と同じ車両と同じ車両にいた乗客。
ポアロは捜査に乗り出すが、彼らにはそれぞれアリバイがあった。
アガサ・クリスティが1934年に公表した傑作「オリエント急行の殺人」の映画版。
そもそも、オリエント急行って?
題名となったオリエント急行は、実在した国際寝台列車。
Wikipediaによれば、なんと19世紀の1883年に開通。
フランスのパリからトルコのイスタンブール間の列車からはじまり、その後、西ヨーロッパとバルカン半島を結ぶ列車群が「オリエント急行」と呼ばれるようになったそう。
映画の舞台となった最盛期には1930年代には、イスタンブール-パリ間の列車は毎日運航していたそう。
今なら、LCCでパリ-イスタンブール間は4時間で2万円を切る値段で行くことができますが、当時はどのくらいの時間・値段がかかったんでしょうね。とても気になる。
※映画の舞台となった1930年からさかのぼることおよそ30年前の19世紀末では、パリからイスタンブールまで70時間程度。
当時オリエント急行を利用できたのは富豪や貴族などの限られた人しか使うことができず、一等列車で当時の召使の給料1年分だったそう。
なお、現在では運航していないそう。とても残念。
その他の国際寝台列車
例えば、
・「シベリア鉄道」
:ロシアのウラジオストックから、中国の北京やモンゴルのウランバートルを経由してモスクワへ向かう路線があります。
・「マレー鉄道」
:タイのバンコクから、マレーシアを抜けてシンガポールへ向かう路線があります。 ※正確にはバンコクの路線はマレー鉄道ではないのですが。
現在では、別の国へ移動する場合は飛行機を用いることが多いと思いますが、そんな中、あえて時間がかかる鉄道旅を選ぶと、贅沢している気分になれるかもしれません。
多彩な登場人物
鉄道って、同じ目的地に向かうという共通点があるのに、ぜんぜんタイプの違う人が同じ空間を共有しているところに風情を感じるのは、僕だけでしょうか。
本作「オリエント急行殺人事件」では、「国際寝台列車」という舞台設定を生かして、登場してくる人物たちもさまざまな国籍の人が登場します
アメリカ人、イギリス人、ロシア人、ドイツ人、ハンガリー人、そして、主人公のポアロはベルギー人。
僕が好きな旅映画「ビフォア・サンライズ」も、アメリカ人とフランス人との出会いの話だったし、国をまたぐ列車では、色んな国の人が乗客となるのが普通のこと、なんでしょうか。
感想
本作では容疑者が10名以上登場し、ちょっと誰がどんな人だったのかを頭に入れるのに苦労してしまいました。それこそ、国籍と職業を覚えるので精いっぱい(僕の頭が悪すぎるのかもしれませんが)。
急行の内装は素敵であり、いつかこんな電車で旅をしてみたいな、と思わされる作品でした。殺人事件はもちろんごめんですが。