「遊牧民」という言葉に対して、どのようなイメージを持つでしょうか。
日本では、遊牧民=モンゴルのイメージが強いと思いますが、実は遊牧民は中央アジアを中心に活躍していていました。
そんな中央アジアにある「キルギス」が、遊牧文化の保護と復刻のために開始したが「ワールド・ノマド・ゲーム」。
「遊牧民のオリンピック」といえるこの大会。第1回が2014年に開始し、以降2年に1度開催されており、世界からさまざまな国が参加しています。
たまたまネットニュースで知り、これは面白そうだ!観に行ってみよう、ということで2018年9月に開催国であるキルギスへ訪れたのでした。
ワールド・ノマド・ゲーム
ワールド・ノマド・ゲームで競われるのは、遊牧民に伝わるさまざまな伝統技能や競技。
狩猟を行っていた彼らの「鷹狩り」や「アーチェリー(弓)」といった競技のほか、レスリングも。
ただ、一口にレスリングといっても、国によってそのタイプはさまざま。それぞれの国の伝統的なレスリング・・・例えばキルギスでは「Alysh」というものらしく、また日本で「SUMO」がその典型でしょう・・・が行われます。ワールド・ノマド・ゲームでは、レスリングだけで、10種類以上のレスリングが行われるのです。
このほか馬を使った競技も行われます。
さまざまな競技がキルギスの複数の会場で行われるのですが、「鷹狩り」などは街からちょっと外れたところで行われるため、アクセスがよくない。
このため、馬を使った競技やレスリングの会場があるチョルポン・アタの「Hippo Dorm」会場へ行くことにしました。
チョルポン・アタは「イシク・クル湖」という巨大な湖の側にあるキルギスのリゾート地。
夏になると、海を持たない国が多い中央アジアの国々の人が「海水浴」のため、この街へ訪れるのだそうです。
下の写真は競技会場の外にある出店の様子。左の男性(顔を星マークで隠した)が被っている帽子はキルギスタン伝統の帽子「カルパック」・・・と思いきやちょっと形が違いますね。もしかしたら、ウズベキスタンの「ドッピ」という帽子かもしれません。
逆光でわかりづらいですが、競技場の観客席。左のほうにいる鳥はワシ。
走っている馬の向こう側に海・・・ではなく、イシククリ湖が見えます。
馬上で行う「相撲」。馬から落としたほうが勝ちのゲーム。
レスリングの様子。国旗を見ればわかる通り、日本からも参加者がいたようです。
こちらは表彰式の様子。
下が一番の花形の競技「コク・ボル」。一言でいえば「馬上で行うラグビー」。
地面に置かれた、一匹2-30キログラムくらいある羊を、馬上から拾い上げて、相手の妨害を避けながら相手の陣地までは運んでいく競技。
激しい競技で怪我人が発生して救急車で運ばれていくこともあるそうです。
なかなかうまく撮影できないですね。公式の写真が迫力ありました。
この「遊牧民のオリンピック」は、実はユネスコも後援するイベント。コクボルは、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。
正直、レスリングは、まぁ、似たような競技を世界のどこかで見ることができそうですが、コクボルのような競技を見ることはなかなかできないと思います。大変貴重な経験ができました。
※Netflixで「コクボル」が紹介されています。加入されている方は是非!