あらすじ
アメリカンのギタリストとキューバの老ミュージシャンたちとの演奏と共に、彼らの来歴やキューバの風景を織り交ぜた音楽ドキュメンタリー映画。
なお、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブとは、キューバに実在した会員制の音楽クラブ。映画の出演者たちによって、映画と同名の音楽アルバムも実際に販売されています。
キューバの歴史
15世紀の大航海時代に「発見」されたキューバは、長い間、スペインの支配下にありました。
20世紀初頭の独立したものの、その後は、事実上アメリカの支配下に。アメリカ資本がキューバに数多く進出。ノーベル文学賞受賞者でもあるヘミングウェイもキューバに訪れ、長い間暮らしていました。
その後、チェ・ゲバラやカストロを中心とした革命軍により親米政権が打倒され、キューバは社会主義国家に。以来、2015年まで実に54年間もアメリカと国交が断絶していました。
このため、キューバ音楽が世界に知られることがなかったのでしょう。本作「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」によって、この「知られざる音楽」を世界に知らしめられました。
ハバナ
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバーが、自分たちの人生を語るシーンでは、キューバの首都・ハバナが撮影場所として使用されます。
ヨーロッパ、東南アジア、中国、中央アジアとさまざまな都市を訪れたことがある著者ですが、ハバナはほかの都市とはまるで違います。
世界中どこにでもあるといっても過言ではない「マグドナルド」「スターバックス」「コカ・コーラ」といった米国発祥の世界的ブランドの商品を見かけることがありません。
また、インターネットが使える場所がほとんどありませんでした。あまり発展していない国においても、一般人はほとんどの人が携帯電話・スマートフォンを持っているものなのですが、通信が厳しく制限されているキューバでは携帯電話を使っている人はほとんど見かけませんでした。
!! 2018年12月からインターネットが解禁された、とのニュースが報道されていますね!!
また、ハバナの旧市街は世界遺産にも登録された風情ある場所。スペイン統治時代に建築されたさまざまな様式の建物が立ち並びます。
「異世界」を感じたい、好奇心溢れる人にはオススメできる場所です。
キューバ音楽
本作に出演する多くのミュージシャンたちは、キューバ革命以前から音楽に携わっていた人たち。最高齢の演者はなんと当時90代。
人生の悲哀を知り尽くしたミュージシャンたちの奏でる音楽が本作の魅力のひとつであり、その中でも最も有名な曲が「Chan Chan」でしょうか。
キューバを特集するテレビ番組でもBGMとして使われることもあり、また、スペイン語圏でも有名なのでしょう、著者がメキシコに旅行したときも屋台からこの音楽が聞こえてきました。
感想
老ミュージシャンたちの奏でる音楽は、軽快なリズムであるものの、どこかゆったりとしていて、正直、ちょっと眠くなってしまうかも。
ただ、キューバの魅力がつまった作品であることは間違いなく、かの地を訪れる人は必見の作品でしょう。